カマルク特定技術研究所株式会社は、秋田県園芸メガ団地花きスマート農業実証コンソーシアムの秋田県農業試験場にて実施されている「先端技術の導入による計画的安定出荷に対応した露地小ギク大規模生産体系の実証」向けに、電照菊のLED電球点灯の制御状況や栽培育成環境の計測管理をEnOcean無線通信で実現するクラウドサービスの開発に成功しました。
背景
菊は日本の代表的な花(国花)で、主に葬祭や法事など1年間を通して広く使われています。
しかし、菊はもともと短日植物で、日長時間(昼の長さ)がある一定よりも短くなると花を咲かせる性質を持っています。その為、電照菊栽培では、夜間に栽培圃場内をLED電球等で電照し人工的に日長時間を調節することで、人為的に花の咲く時期をコントロールし、祭事で使用するタイミングに合わせて咲かせていました。
生産者の負担を考慮すると、自宅や出掛け先といった遠隔から「正確・リアルタイム・簡単」に圃場と栽培状態を「見える・知る」機能が必要であり、IoT技術の導入が求められています。
仕組み
電照菊は路地圃場で栽培されており、降雨や風といった自然環境の影響もある為、それに耐えうる環境性能とセンシング用の配線のしやすさが重要で、かつ圃場と栽培状態を「正確・リアルタイム・簡単」に「見える・知る」ことができる機能が必要でした。
そこで、電照に使用する耐候性LED電球の電流変化を検知する機構に「電源不要・配線不要」のEnOcean電流センサを採用、栽培環境の計測にも同様にEnOceanセンサを採用することにより、全てのセンシングをEnOceanセンサに集約。
圃場で計測されたデータは、即時に4G回線を通じてセキュアにクラウド上の時系列基盤(CLOUDSHIP®)に蓄積され、可視化システム(RealBoard®)でリアルタイムかつ分かりやすく、生産者に情報提供を行っています。
同時にLED電球点灯制御状況や圃場は、クラウド上で24時間365日自動監視しており、異常があった際には、即時にメールで配信されます。
効果
電照菊のLED電球点灯の制御状況や、栽培育成環境の計測管理を、24時間365日、遠隔からリアルタイムで正確かつ簡単に見える・知ることができるようになり、生産者の負担が大きく軽減。
LED電球点灯制御状況や圃場の異常が発生すれば、メールで即時発報配信されるため、遠隔からの圃場管理の利便性も飛躍的に高まりました。






備考
本事例は農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:花B01、課題名:先端技術の導入による計画的安定出荷に対応した路地小ギク大規模生産体系の実証)」(事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の支援により実施されました。
使用機器
導入企業 | 秋田県農業試験場/カマルク特定技術研究所株式会社 |
可視化ツール | RealBoard® (カマルク特定技術研究所株式会社) |
クラウド基盤 | CLOUDSHIP® (カマルク特定技術研究所株式会社) |
LED電球 | 耐候性LED電球 (株式会社エルム) |
用途 | ゲートウェイ | センサー 接続方式 |
メーカー | 型番 | 商品名 |
耐候性LED電球管理 | OpenBlocks IoT VX1 | EnOcean | ユー・アール・ディー | – | 電流センサ |
温湿度管理 | EnOcean | アイテック | ET9-RHT | 温湿度センサ | |
照度管理 | EnOcean | アイテック | ET9-ILL | 照度センサ |