養豚場内では、自動給餌器・スクレイパー方式の自動除糞装置などの故障・水道管の水漏れ・排水溝の詰まりなどが日常的に起こり、従業員はたびたび補修に追われる事があった。また夜間は無人になる為、トラブル発生時は半日近く、故障に気がつかずに放置されてしまう事もあり、また、故障場所は豚舎に行かないと確認できない為、遠隔でモニタリングできるシステムが必要となっていた。
そこで、クラウド型勤怠管理サービスを導入したものの、養豚場の各設備の管理・修理を行っている時間が、一日の約1/3にもなっていることがわかった。そこで、設備管理の省力化を図りながら、豚を見る時間を確保すべく、IoTを活用した次世代豚舎の実現に至った。
背景
養豚業界は、20-30年前と大きな違いはなく、未だに多くの作業が人手に頼る形で成り立っており、若者にも人気のない職場で長続きする人が少なく、常に人手不足に悩まされている。
加えて、畜産業界はTPPやEPAなど海外市場との厳しい競争にさらされ、安い海外産の豚肉と競争する時代が目前に迫っており、大きな岐路に立っている状況。
高品質な豚肉生産には、職場環境の改善、設備管理の効率化や省力化、生産管理の徹底、およびビジネスとしての収益を確保するために、IT や IoT といった先進的な設備投資が不可欠となっている。
仕組み
豚舎等に設置した各種センサーから温度・湿度・CO2・給水・給餌などのデータを取得し、浄化槽・コンポストといった環境設備の稼働状況データを取得。それらデータをIoTゲートウェイ経由で設備管理クラウドに送り、稼働状況を可視化。スタッフ全員がデータをスマートフォンでリアルタイムにデータを確認できる。
また、ビジネス版LINE「LINE WORKS」との連携により、異常発生時には即座にアラート通知をスマートフォンに送信し、迅速な対応を行える。

効果
スタッフが携帯するスマートフォン上で、様々なデータを見ることが可能となっただけでなく、IoTシステムが24 時間設備を監視することで、様々なことが可能となった。
・トラブル発生時での迅速な調査・分析
・水の流量を常にチェックし、データとして蓄積することができるようになった為、季節ごと、或いは豚の成育過程での水の要求量の変化を蓄積でき、データによる豚の体調管理の実現
・加工場の冷凍庫や冷蔵庫に取り付けた温度センサーの働きでの適切な温度管理
・設備の稼働状況から機器の耐用時間を予測し、トラブルを未然に防ぐことで設備機器の維持管理の効率化
広い養豚場養豚場内を見回ることでしかチェックできなかったこれまでのやり方に比べ、無駄のないスピーディな対応が可能になりスタッフの負担も削減。養豚場内の設備がどう働いているかがつぶさに分かるようになり、設備の改善点もはっきりしてきた。
こうした細やかな分析結果が、今後の養豚ビジネスに大いに役立つと考えている。
使用機器
導入企業 | 株式会社システムフォレスト/有限会社協同ファーム |
可視化ツール | MotionBoardCloud |
情報共有ツール | LINE WORKS |
用途 | ゲートウェイ | センサー 接続方式 | メーカー | 型番 | 商品名 |
温度管理 | OpenBlocks IoT BX1 | BLE | ユニ電子 | UNI-01-X002 UNI-01-C003 | LogttaWR Logtta Cable |
流量管理 | OpenBlocks IoT BX1 | BLE (4-20mA 変換) | ユニ電子 | UNI-06-A001 | LogttaAD |
電力管理 | OpenBlocks IoT EX1 | Enocean | Pressac Sensing | 3PCT-○○A | 3クランプCTセンサ |